屋久島「楽水舎」の建築

(社)セルフエナジーハウス研究会ではH26年度森林環境税関係事業(木のあふれる街づくり事業)屋久島「楽水舎」の建築を申請し採択され、平成27年に(株)ソーラーハウス21にて工事を進めて参りました。このたび完成し披露出来る運びになりましたのでその概要と目的について記したいと思います。

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「楽水舎」の目的

多くの離島を抱えるわが国(特に東京以西の高温多湿の地域)においては、離島のような小規模地域でいかにエネルギーを効率的に使うか、いかに地元材を使うか、また現在の気密化の進んだ住宅をいかに多雨、多湿に適応させるか等は、非常に大きなテーマです。

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今回の屋久島「楽水舎」建設の計画は、大阪の建築設計事務所・アーキアンドリフォルム代表の北田壮介氏が所有する屋久島の土地に高温・多雨・多湿な離島でのエネルギー高効率建築の建築・設計ノウハウを盛り込んで、北田氏と共に(社)セルフエナジーハウス研究会(代表:上野勝)が共同で、平成26年度森林環境税の補助金を利用して行ったものです。

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単なるデータ収集のためだけの実験棟ではなく、環境共生デザインや2020年の改正省エネ基準をしのぐ性能を取り入れ実際に居住できる環境を整え、短・中期の滞在により、実際に使用するエネルギー量を測定することや室内環境を体験できるようにしているので、是非ご利用いただきたいと思います。屋久島の雨が多く高温多湿という厳しい環境下でも常に快適で健康的な室内環境を多くの人に体験していただくことを目的の一つにしております。

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さらに、地産地消という考えから、構造躯体をはじめとする建材のほとんどを屋久島産杉(屋久杉ではなく屋久島の人工林で育成された杉)及び鹿児島県産材を使い、耐候性・耐久性・経年変化などを調査することも目的のひとつです。

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このプロジェクトで収集される各種ノウハウや、データは広く公開し、設計者や施工者がエネルギー高効率快適、健康住宅を建築する知識を提供するとともに、離島におけるエネルギー対策及びマイクログリッド化などへの参考となることも目指しています。

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「楽水舎」の概要

「身近にある安全でクリーンなエネルギーを取り入れて、自分で使うエネルギーは自分で作る。」をコンセプトにした「ハイブリットeハウス」がベースになっています。「ハイブリッドeハウス」は(社)セルフエナジーハウス研究会が監修し(株)ソーラーハウス21が施工している建物のブランドで、アクティブとパッシブの融合が語源になっています。現在でも「ハイブリッドeハウス」は全ての建物がゼロエネルギーハウスで且つ快適性と健康に気を使った世界の標準住宅と言われるものです。

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住宅に求められる基本条件、すなわち性能ばかりではなく、機能やデザインが良いこと、そしてそのバランスが保たれている事をクリアしているのは勿論ですが、自然エネルギーを取り入れる事や無駄にしない事の他にも、風の流れや日射を考慮したデザイン、そして室内空間を快適にするレイアウトを作り上げるために最適な機材・機器類などを総合的に研究し、時間をかけてバランスよく組み立てており、少ないエネルギーでも快適に暮らせる、燃費の良い家が「ハイブリッドeハウス」です。

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楽水舎も、その必須条件になる断熱材には吸放湿性に優れ、熱容量が大きいアップルゲートのセルロース断熱材を、計画換気には床下にも湿気を溜めず熱交換のみならず湿度の交換まで行うマーベックス社の計画換気を、熱損失の激しい窓にはLIXILの高性能樹脂サッシを使用しています。

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屋根下地は通気を取りながらほぼ完全な熱の遮断をする対策も施されています。外壁材は杉の角材で通気を良くしたいわゆる「すのこ張り」で、その下地には非常に防水性に富み、JIS防水試験の4.7倍~10倍以上の数値を達成したドイツ製のものを使用。アップルゲートのセルロース材と同じく、高い透湿性がありますので、壁内結露を防ぐことが出来、建物の寿命をも延ばすことでしょう。

■最後に

世界自然遺産で神秘的といわれる屋久島で建築された「楽水舎」は、これから来るべき2020年改正省エネ基準をクリアするのみならず、日本の住宅づくりにおいて考えなければならない必須条件としての湿度への適応を真剣に考えた研究会としておすすめの建物です。

(社)セルフエナジーハウス研究会 
代表理事 上野 勝

 

読売新聞「屋久島 楽水舎」企画広告(PDF)